pure love
さっきからベンチに座っている二人だが雨が降っていたこともあり寒くなってきていたのと、さすがに何時間も待っていることが飽きてきていた。
「もうー!待ちくたびれた!愛海、移動しよーや!」夏は、ベンチから立ち上がって大きな声を出した。
「確かに待ちくたびれた。」
「メールしよう」夏はそういいながら携帯を取り出してメールを打ち始めた。
「野球部ほんま何してんの?外周走ってへんみたいやし」夏はぶつぶつ野球部の悪口を言う。
「何してるんやろうな」夏は落ち着かない様子でベンチの周りをうろうろしながら私に話しかけている。
夏、早く谷口に会いたいんやろうなあ。だから落ち着けへんのやろうな。そんなことを思ったなんて夏には言わない。
夏の好きなアーティストの音楽が鳴り響き、携帯にメールが届いたことを知らせてくれる。夏は携帯の画面を見ながらしかめっ面をする。
「どうしたん?」
夏のその表情に気付いた私は、ベンチから立ち上がって夏に話しかける。