不器用な僕等の唄を

それに、そんな事言われてしまったら。

「彼女、恋人なんだ?」

これを肯定する事になってしまうのに。

「…夜、まだ起きてる時間くらいに電話したのに全然繋がらなかったり。男出来たのかなって。」

バイトと夜、遊びに行ってたから。

でも、その理由を口にしない。

だって、誠はあたしの質問に答えてない。

「…彼女、誠のコイビトなの?」

長閑(ノドカ)な公園に、西日が差し始める。

「そうだよ。」

誠は、やっとあたしの方を向いて答えた。



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