不器用な僕等の唄を

ゆっくりと息を吐き出す。
深呼吸するよりも、ゆっくりと。

「…辛いんだ。声も聞けるし、メールも出来る。でもそこに現実が存在しない。」

「あたしだって辛かった。」

あ───
そう言って気づく。

もう過去の事なのか、と。

時間はすぐに過ぎ行く。

捕まえて追い抜かしたりそのまま羽交い締めにして、止めたりなんて出来ない。

「…そう思ったら、なんか辛くなった。なんで傍にいるはずの茉莉がこんなに遠いんだろうって。」

何ソレ?

誠の言葉にカチンとくる。

まるで、あたしが悪いみたいじゃない?



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