不器用な僕等の唄を

「…たしが、悪いの?」

こんなにも、あたしは誠が──

「あたしが悪いの?」

好きなのに。

「…え。」

「あたしだって、辛かったよ?予選落ちした時に誠に慰めてもらいたかった。」

「予選…?」

「傍にいるはずなら、どうして誠はこっちの学校に来たの?」

電話じゃ話せなかった事を、何故顔を見たら話せるんだろう?

溜め息が出た。

あたしじゃない、誠の。

「体は離れても、心は離れないと思ってた。」

その溜め息に、全てが終わった気がした。

あたしは立ち上がる。



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