不器用な僕等の唄を

誠のそうやって自分にも他人にも厳しい所も好きだった。

あ、また過去形。


『都合の良い人間でいるのは、もっと辛い気がするんだ。』

「賛成。」

友達にもなれない気がするし。

『街中で、すれ違った時にまた話そう。』

「きっとそれは無理。
次会う時はもっと綺麗になってるから、気づかないよ?」

電車が前を通り行き、風が吹いた。
同時に携帯の奥で笑い声が聞こえる。

「…バイバイ。」

『じゃあな。』

あたしは携帯を切った。






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