不器用な僕等の唄を

反射的に、自分の名前を問われたので頷く。

「これ、あんたよね?」

ズイッと目の前に出されたのは、白い携帯で。

そこには、あたしと奏と桔梗が写っている写メ。

「はい…。」

「ったく、あたし迎え役じゃないんだけど。最近の一年は家出が流行ってるの?」

話したことがないうえにそんな長文を、トーコさんが言ったことに驚く。

「いえで?」

けど、あたしの問いには耳を傾けもせず、強引に肩に掛かっていたバックの片方の取ってを掴む。

連行されるように、あたしは引きずられて駅から出た。



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