不器用な僕等の唄を

その質問にドキリと心臓が高鳴る。


「…失恋を、してきました。」

何故か、素直に答えてしまう。

予想外だったのか、ガードレールに座ろうとしたトーコさんはこっちに目を向けた。

「馬鹿にしてるの?馬鹿なの?」

小首を傾げたその姿は、写真におさめたい一瞬だったけど。

「いえ…遠距離だったんです。でも、相手にはもう新しい彼女がいて…。」

うわ、話してて辛い。

「キッパリ、フってきました。」

本当に、終わってしまった。

それだけ言えば、流れるのは沈黙だけ。



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