不器用な僕等の唄を
Ⅱ
雨がまた降っている。
毎日傘を持ち歩かないといけないから、少し面倒くさい。
「また雨じゃん。今度、プールの授業なのに。」
窓の外を見ながらうんざりするのは茉莉(マツリ)。
「プールの心配ですか、茉莉サン。」
「それ以外に何があるんですか、奏(カナデ)サン。」
下敷きを扇ぎながら、茉莉を見る。
「何って…。あ、おはよう。桔梗ちゃん。」
「おはよう。」
こんな暑さも涼しげな笑顔ひとつで吹き飛ばしてしまう桔梗ちゃんがやってきた。
茉莉と桔梗ちゃんは、クラス公認の親友。
二人揃えば、ニコニコしている。