不器用な僕等の唄を
嬉しそうでもないけど…。
棒読みの言葉をあまり気にしないで、ヒロナさんはまた元来た道を歩き出した。
しばらく歩くと、太鼓の音がすごく近い。
夜店の焼きそばの香りが漂ってきた。
「トーコさん。」
そう呼べば、くるりと振り返り目だけで「なに?」と言う。
「…トーコさんも、失恋したことあるんですか?」
それは誰だってあって可笑しくないと思うけど。
なんだかトーコさんがそうだと思うと…変な気がする。
「お、みんな揃ってんじゃん。」
よっ、といつもの挨拶のようにヒロナさんはそこにいた少しチャラめな男子に手を上げる。