不器用な僕等の唄を

手を上げ返す人もいれば軽く会釈をする人もいる。

「着いた。」

ヒロナさんは本当に顔が広い。

「フラオブ揃ってんね?」

「あ、佐々木さん!」

奏は桔梗の隣に居た。

確かにフラオブは勢揃いで、後はプラスして青や矢祇さんの彼女がいる。

「……ある。」

急にトーコさんは言う。

「…え。失恋したことが?」

「そう。相手にはもう、想う人がいるみたいだから。」

切ない瞳は、一瞬フラオブのメンバーに向けられて。

あたしは、その中の矢祇さんと彼女が手を繋いでいるのに目が留まる。



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