不器用な僕等の唄を

あたしが第3音楽室に入った途端。
部長席に突っ伏す透子は溜め息混じりにそう言った。

その後ろにパイプ椅子に座り、透子の髪を三つ編みにしている部長の雪比良栄(サカエ)の姿が見える。

なんだ…この光景。

フラオブに栄を誘ったのはあたし。

結成当時、栄とあたしと透子が矢祇を連れて、後はテキトーに暇な男子を引き込んでやっていた。


「あ?」

透子の言葉に、栄が威圧的な声を出す。

「喧嘩か?」

「そう、喧嘩。」

あたしはその会話を聞きながら、ソファーに座る。



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