不器用な僕等の唄を

昨日の痴話喧嘩した相手も、透子のことを嫌っていたらしい。

そして、何を調べたのか馬鹿なことに『タブー』を犯してしまった。

結果、暴れそうになった透子を押さえたのは男友達の後藤(ゴトウ)。


透子にとってのタブーは…元母親のこと。

その名前を出しただけで不機嫌になるし、話を広げようとすれば「うるさい。向こう行け。」と言われる。

一緒にいるから、分かること。

でも、あたしの場合は…聞かなくてもわかることだった。


「高橋くんは陸上だって言ってましたよ。」

轟は向かいのソファーに座る。



< 129 / 310 >

この作品をシェア

pagetop