不器用な僕等の唄を

そういえば、もうすぐで陸上の大会があるんだっけ。

「あの子も大会出んの?夏祭りの時の。」

「香坂茉莉のことですか?出ますよ。でも…。」

「でも?」

轟は少し俯きがちに、言う。

「スランプに陥ったみたいで…。」

うわ。

折角の大会なのにねぇ…、なんて思っていたら扉が開いた。

「遅れましたー。」

呑気な声を出す、優しく見える猫被り。

「反省の色がねぇな。」

「きゃー怒らないで部長さん。」

「また野田か?」

栄は三つ編みを終えて、腕を組む。



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