不器用な僕等の唄を

目の前で話す二人は楽しそうで、見てるとどこかホッとする。

あたしは遊び人だからなぁ…。

今更、過去に文句を言っても仕方はないけど。

前はもっとだらしなかった気がする。
今、バンドを始めてからは少し良い方になった。

きっとそれは透子も同じ。

あの日、暴走した透子を止めたのは透子自身。

あれから、少しは変わったんじゃないかな。


「…トランプ。」

眉間に皺が寄って、寝顔が可愛くない透子が言った。

「あ?」

怪訝な顔をして栄が透子の方を向く。

「トラトラ…トランプ…。」

…寝言!?



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