不器用な僕等の唄を

寝言はちょっと可愛い。

「栄、今の寝言。可愛くてドキッとしたよね。」

「しねぇよ。」

呆れた顔をされた。

「……紘波(ヒロナ)。」

おぉ!何!?

期待しながら、次の言葉を待つ。

「……あんた、馬鹿。」

「はぁ!?」

眉を寄せて、思わず大きな声を出すと、パチリと黒目が大きい瞳が開いた。

「っさい。」

その言葉は寝言じゃない。

「「…馬鹿。」」

笑いを噛み締めた矢祇と呆れている栄が揃う。

野田ちゃんと言えば、

「紘波。」

慰めるようにあたしの名前を呼んだ。

…うん、天下の透子様の寝起きは何よりも最悪だからね。



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