不器用な僕等の唄を
イライラする透子は昼前にはいつも通りに戻っていた。
「紅葉綺麗だね。」
「本当だ!」
来年は海外に旅行だから修学旅行は今年で最後。
つい最近、夏休みが終わったばかりなのに、すぐに紅や黄に染まる葉がすごいと思う。
野田ちゃんは瞳をキラキラさせて紅葉を見渡した。
「秋は寛大ね。」
「もっと分かりやすい表現の仕方はないのかよ?」
「馬鹿な矢祇には分からないんでしょうね。本当に馬と鹿に失礼。」
透子は相変わらずの毒舌で矢祇と言い争いをしている。
知り合った時から、こんな感じだった。