不器用な僕等の唄を






旅館は結構新しくて、夜の怪談話はあまり盛り上がりそうにない。

あたしと野田ちゃんと透子は同じ部屋。

「ご飯まで自由時間だって!」

野田ちゃんは荷物を置くなり、ひとつに結んでいた肩までの髪を解く。

「野田…楽しそう。」

微笑しながら透子も荷物を置いた。

「楽しいよ。透子ちゃんと紘波は露天風呂に行く?それともサウナ?」

「サウナだなんて…あんな暑いとこに入れるかっての!」

あたしはそう返すと、待ってましたと言わんばかりの笑みの野田ちゃん。

「あたしパス。」



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