不器用な僕等の唄を

透子から発せられた声は野田ちゃんの顔を曇らせる。

「え?」

「女の子の日だから。簡易シャワーで済ませる。」

にっこり笑う透子は珍しい。
…そして、そんな顔をするのは嘘を吐くとき。

「…そっか。残念だね。紘波は?」

「あたしは露天風呂。」

そう答えれば、少し晴れたその顔を見て透子は安堵したみたいだった。

安堵するくらいなら、一緒に入れば良いのに。

女の子の日、なんて嘘を吐いた透子に苛立った。








「そういえば、野田ちゃんは違う中学だったね。」

栄や青もだったけど。



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