不器用な僕等の唄を

だから、あの時も…。

無理にあたしも矢祇も、止めに入らなかったのかもしれない。

中学二年のとき、同じ学校の透子と矢祇とは元々遊び仲間で、仲が良い方だったと思う。

昼下がり、昼休みが終わろうとしていたその時に透子は暴走した。

理由もなく、暴走するわけない。
あの体力温存型が。

もう顔も思い出せないけど、クラスメートの男子が透子に何かを言った。

多分、冗談で透子の家族のことを言ったんだと思う。

ちょうどその時期に、透子の親と桔梗の親が再婚したという噂が流れたから。

透子の家族の話は、『タブー』。



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