不器用な僕等の唄を
矢祇もベースをやっていたみたいだし、透子は当たり前のようにピアノを弾けた。
あたしは、これでも文武両道で、しかも音楽にもうるさく言われていたからドラムも出来た。
決して、仲が良かったわけじゃない。
相性が良かったんだ。
透子はあたしの持っていないものを持っていて、あたしは透子の持っていないものを持っていた。
…それだけじゃ、ないのかもしれないけど。
「あ、透子ちゃん。」
やはり長袖で、白い足にレギンスを穿いている透子は自販機の前で固まっている。
何かを思い悩んだ末、ボタンを押す。