不器用な僕等の唄を
Ⅲ
「うわ、また甘いの買ってる。」
あたしが言うと、透子は顔をしかめる。
手に持っているのは温かい紅茶。
「甘いものに慣れてんの。甘いものってお腹が膨らむっていうでしょう?御嬢様のあんたと違って貧乏性なの。」
透かし笑うような顔で、こっちを見た。
御嬢様って…。
「殴りマスヨ?」
その言葉は御法度。
透子にとって、音宮の悪口に値するくらい。
「やれるモノナラ。」
ここの階の広間のような場所のソファーに座る。
テレビでは、月9のドラマがやっていた。
「次言ってみなよ。歯一本折ってあげる。」