不器用な僕等の唄を

はしゃぐあたしを横目に透子はお土産の注文表を見る。

「ねぇ透子!」

「うっさい。」

「だって敷き布団だよ!」

「御嬢様のあんたには、庶民の布団なんて似合わないって言って欲しいの?」


────ぶっちん。


何かがキレた音がする。

それがあたしの体の血管なのか、ピンと張っていた心の線なのかは不明。

でも、気付けば乾いた音と共にテーブルがガタンと動いた。

…どうやら、あたしは透子に平手打ちをカマしてしまったみたい。

この世のものとは思えないほどの眼光でこちらを睨んでいる。



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