不器用な僕等の唄を

文武両道に育ってきたものだから…柔道は茶帯だし、合気道は習ってたから。

力は無意識に入ってた。

でも、だとしても。

あたしは悪くない。

「…ミエさん、駅前で男と腕組んでるの見たよ?」

挑発した。
喧嘩を売ってきたのは、透子の方。

殴ると宣言したわけだから、それを分かって言ってきたんだと思う。

「ナンバー1になるのも夢じゃないんじゃない?」

嘲笑ってやった。
こういう機会は、そうそうないから。

「……は…。」

透子の頬と口元に当ててあった手のひらが外されてみれば、楽しげに笑っていた。



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