不器用な僕等の唄を

唖然とした。

叩かれて笑うって…もしかして、透子ってマゾ!?
マゾなの?透子!

長年の連れにそんな癖があるなんてこれっぽっちも思わなかった。

…しかも、油断した。

「歯食いしばりな。奥歯が惜しければね。」

今更だけど、透子は笑い上戸だ。
こんなに笑っているのは初めてだったけど。

…やはり油断した。

透子からの忠告はきちんと聞くべき。





あたしが構えるよりも早く、透子が曲げた腕は意外なことにこっちに戻ってくる。




一瞬、世界が歪んだのかと疑った。


「…い゙っ。」



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