不器用な僕等の唄を

その顔にもう一度、平手打ちをカマす。

「そうやっていつも醒めた目して、傍観者を決め込むあんたに、こっちは腹立ってんの!」

「…うっさい。」

「本当はどう思ってんの?男遊びの女が母親で、勘当された家族が佐々木の家で、あたしが従姉妹で!!」

「おい、佐々木!」

二の腕を痛いくらい後ろに引っ張られる。

強く引っ張ったのは勿論野田ちゃんでは無く、同じ階の女子でも無く、矢祇だった。

「…音宮。」

その隙にこっちへ飛び込もうとした透子を、栄は止めた。



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