不器用な僕等の唄を

なんで2人がここにいるのかは容易に推測できる。

「2人して何やってんだよ?」

後ろから矢祇の声を聞いて、答えるにも言葉が出ない。

口の中から鉄の味がした。

肩で息をする透子は栄に寄りかかるようにしないと立っていられないみたい。

普段、体育の授業に出てないからすぐにバテんだよ。

沈黙と荒い吐息が続く部屋の中、

「何かあったの!?」

多分実行委員長だと思われる女子の声が、入り口から聞こえた。

矢祇はあたしから手を離して入り口に行き、馴れた笑顔で「ちょっとした痴話喧嘩。先生には内緒にしといて。」と簡潔に言って戻る。



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