不器用な僕等の唄を
「…離して。」
呟くように言った透子に反応して栄も手を離す。
「まずは救護室だよ。」
野田ちゃんも居たらしく母親のように言う。
大人しく救護室に連れて行かれて、手当てを受ける。
「本当に転んだの?」
「階段で転けました。」
「本当?」
疑り深く、しつこかった保健の先生を振り払って救護室を出る。
結局、矢祇と栄にはお礼を言ったけど喧嘩の理由は言わなかった。
そもそも、何が理由だったのかよく覚えていない。