不器用な僕等の唄を
「すいません…。」
笑い飛ばすようにヤギさんは言ってくれた。
部長もいつも通り、不機嫌そうな顔をしている。
ドラムの高橋くんも気にしていないという顔をしていて。
珍しく居た作曲担当の佐々木さんに申し訳なく思った。
「音宮。眉間に皺が寄ってる。」
音宮先輩は起きていた。
ヤギさんの茶化す声に反応もせず、生徒会長の椅子に座って目を瞑っている。
「始める。」
部長は気にせずに、打ち合わせを始める。
怒っているのかもしれない。
一向に目を開けない音宮先輩を盗み見しては、そう考える。
「カバー曲増やす。」