不器用な僕等の唄を
天井を見た。
「…こんなこと言ったら紘波、怒るかもしれないけど。」
「何?」
「透子ちゃん、本気で怒ってなかったと思う。」
野田ちゃんは、あたしが透子を怒らせようとしていたのに気付いたみたいだった。
…わかってる。
透子が笑った時点で、あたしの考えが見破られている。
中学の時を思い出す。
そういえばあの男子、透子の父さんの悪口を言っていたっけ。
そうだった。
透子は嫌いなものの話題を延々と流されるより、大切なものを悪く言われるのを嫌う。
「…中学2年、夜に街で遊んでたあたしのとこに透子が来た。」