不器用な僕等の唄を
案の定、透子は広間のソファーに座っていた。
顔色が良くないのはいつもの事として、目を瞑りながら上を向いている。
もうとっくに消灯時間を過ぎているのに先生が回ってきたらどうするともりだったんだろう?
「…透子。」
喧嘩は何度もしたことがある。
でも今回みたいに殴り合いになったのは初めて。
「…泣き虫。」
「あたしの名前は泣き虫じゃないんだけど!?」
笑いながら、目を開ける透子。
「さっき、平手打ちしながら泣いてたのはどこの誰よ?」
…なんでいつも余裕なのか、不思議に思う。