不器用な僕等の唄を

こうやって広間で座っているのも、まるであたしが来るのを待っていたかのよう。

「昔から泣いてるイメージがあんだよね。あんたの知り合いに“あの人”と親子かどうか調べてもらって結果が出た時も。」

“あの人”は、透子のお父さん。

「男にフラれた時も、友達に裏切られた時も。」

長く一緒に居た。
そんなのは結果でしかないのだろうけど。

「…あんたはいつも甘いよ。」

あたしは言い返す。

林檎ジュースみたいに、砂糖菓子みたいに、ミルクティーみたいに。



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