不器用な僕等の唄を

呆れたような笑みを見せて、溜め息を吐く透子。

「ひとつ、白状することがあるんだけど。」

あたし達は部屋に向かって歩き出した。

「初めて、あんたに会いに行った夜。痛い目みさせてやろうって思ってたんだよね。」

「うん!?」

ドッキリ発言をする小娘は、あたしの表情を見ながらクスクス笑う。

基本的に笑い上戸なんだよね。

「だから矢祇も連れてって…まぁ、予想以上に馬鹿だったから止めておいた。」

あの頃のあたしは、透子より頭は良かったんだけど。

頬が痙攣し始めたと思えば、もう部屋の前。



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