不器用な僕等の唄を

そこまで考えて、あ───と思い出す。

「さっき、透子に蹴られた時マジで死ぬかと思った。」

「紘波」と、咎める声が野田ちゃんから聞こえてきたけど、腹の虫が治まらない。

やられたらやられた分だけやり返す女なんだ、あたしは。

「だから蹴らせて。」

「良かったじゃない、死ぬかと思えて。」

「透子ちゃんも」と、また野田ちゃんの咎める声が聞こえる。

「人生で死にたいと思うのは何回あっても。生きられないって思う回数は滅多にないじゃない。」

…上手く言いくるめられた気がする。

でも!と反論を口にしそうになった時、透子から寝息が聞こえた。



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