不器用な僕等の唄を
為(シ)て遣(ヤ)られたり。
あたしは溜め息と共に布団に戻る。
隣の野田ちゃんからは、安堵の溜め息が漏れる。
「最後まで透子ちゃんは我が道を行くみたい。」
「否めない。ってか、否める必要性を感じない。」
それが透子で、そういう透子を好む奴も嫌う奴もいるんだから。
「…うん。そう言うのが紘波だよ。」
鈴虫がまだ鳴いている。
秋なんて一瞬の季節。
夏から冬にかけての橋渡しみたいなもの。
でもきっと、なくてはならないもの。
秋に浸っている感じがする。