不器用な僕等の唄を
布団に潜り込んで、私は目を瞑る。
少女漫画では、普通好きな人の顔が出てくるところだけど。
私には、誰ひとりとして出てこない。
瞼の裏に浮かんだのは、日誌を先生に出して遅れた打ち合わせのこと。
あと、音宮先輩の長い睫と日直を頼まれたクラスメートの合掌した手。
中学の時なら、日誌の代わりを断っていた?
記憶を辿っていっても、その答えは見つからない。
「さ み し い。」
口から出た言葉。
…これなんだ。
私の気持ち。
本当の気持ち。
…寂しい。
優しくされたい。