不器用な僕等の唄を
Ⅱ
シンデレラって。
学芸会!?
演劇部!?
みんなの空気も同じようなものだけど、脚本を書いたらしい先生はやる気充分。
「ちょっと、人物の役が出ないってどういうこと!?」
吉舎羅(キサラ)先生─通称キャサリンは、軽いヒステリーを起こす。
殆ど決まっている役は、木とかネズミとか、馬とか…。
王子もシンデレラも意地悪なお姉様役も。
「つーか、そんなにシンデレラやりたいんなら、キャサリンがやりゃ良くない?」
後ろの席の紘波は、だるそうに言う。
紘波の左斜め後ろの透子ちゃんなんて、さっきからずっと突っ伏したままで。