不器用な僕等の唄を
急に話題を突きつける紘波に、私は首を傾げる。
「主語がない。」
流星は呆れたように言った。
「あぁ、ごめん。野田ちゃんと矢祇の二人で行く?さっき手に入ったけど別に行かないんだよね。」
手の内にあるのは、確かに映画のチケット。
紘波は興味なさそうにヒラヒラと動かし、私達に渡す。
「行きたい?」
私を見る流星に頷く。
だってこの映画、テレビですごい宣伝してた映画。
興味半分だけど見てみたい。
「んじゃ貰う。」
はいよ、と紘波はチケットをくれたらすぐに廊下を歩いて行ってしまった。