不器用な僕等の唄を

流星は提出物を出していなかったみたいで、先生に呼び出されてしまった。

今日はまたあの曲をやってくれると聞いたから、部室に来ている。

「…透子ちゃん?」

珍しく雪比良兄も弟もいなくて、透子ちゃんは起きていた。

そして、シャーペンを持て余すようにカツカツと紙を叩く。

「なに?」

「透子ちゃんて部長じゃないのにどうして部長の机に座ってるの?」

純粋に、ずっと前から考えていた質問。

カツ、と手の動きが止まって私を見ていなかった瞳が私を捕らえる。

黒目がちなその瞳は、伏せられた。



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