不器用な僕等の唄を
雨のワルツ。
Ⅰ
ふわり、と風が吹いた。
うん。言葉に表せば、絶対に『ふわり』だったはず。
私は、そんなメルヘンチックなことを考えながら日誌を持つ。
窓から入る風は梅雨とは思えないほど、暖かい。
おまけに今日は日差しが強くて、梅雨を追い越して夏になってしまったよう。
つい先日、桜が散ったばかりなのに。
桜の樹にはもう花びらはなく、緑の葉だけが見える。
湿気を伴う空気で廊下が滑りやすくなったり、クラスの女子が髪を弄る光景も増え。
…兎に角、今日はこんな天気でも明日は雨。