不器用な僕等の唄を
Ⅲ
「お前なぁ…。」
その低音の声に、私は唇を噛んだ。
いつも、そう。
青が言いたいのは分かる。
音宮先輩が言ったのと同じこと。
自己満足で、人に優しくするのは意味がない。
「…分かってる。」
「え?」
「分かってる!青が嫌なら近付かなきゃいいでしょ!」
噛み合わない話のうえ、私が勝手に主語なしの会話を始めた所為でこんがらがる。
「意味わかんねぇし。落ち着…。」
「もう知らない!」
どっちがよ。
私はひとり突っ込みを自分にいれながら、その場を立ち去る。