不器用な僕等の唄を

その隣には、堂々と睡眠をとっている透子ちゃん。

「ほら、王女様。シンデレラがお越しっスよ。」

透子ちゃんを見ていたのに気付いた紘波は、そう言って起こす。

「…。」

透子ちゃんは起きて、私を見たけれど。
私は透子ちゃんを直視出来ずに目を逸らした。

「あがり症は治った?」

「…う、ううん。まだ。」

俯いてしまう。

あの2人の女の子達の言ったことを気にする必要なんてない。

“今の”彼女は私なんだから。

私が流星に会った時は分からないけれど。

「あがり症なの、野田ちゃん。」

驚いた顔で紘波が言う。



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