不器用な僕等の唄を
いつものように紘波の周りには男子はいない。
そして正面に座る透子ちゃんはお弁当で、今日は音楽室には行かないらしい。
「今日矢祇は?」
透子ちゃんは小首を傾げて聞く。
その口から出る“矢祇”にまた胸が痛くなる。
「ガールズトーク楽しんで来なって。」
「アイツらしい。」
そう言う斜め前に座る紘波は愉快そうにお味噌汁を啜って顔をしかめた。
「矢祇ってなんか掴めない。この前『老けた?』って聞かれたんだけど。」
流星…何故そんなことを紘波に。
「アイツって昔からあんな?」