不器用な僕等の唄を
「…くだらないんだ。」
手元の水の入ったコップに手が伸びて、それを透子ちゃんにかける。
その前に手が止まった。
正確には止められた。
でもバシャッという水が零れる音が聞こえて。
自分の前髪から水滴が落ちているのに気づく。
「頭、冷やしな。」
冷酷ともとれる透子ちゃんの声が聞こえた。
私のコップを持つ手を押さえているのは透子の右手。
そこまで考えてやっと把握出来た。
透子ちゃんに水をかけられた。
自分がやろうと思っていたことを見透かされて、先にやられると拍子抜けしてしまう。