不器用な僕等の唄を

「…くだらないんだ。」

手元の水の入ったコップに手が伸びて、それを透子ちゃんにかける。

その前に手が止まった。

正確には止められた。

でもバシャッという水が零れる音が聞こえて。

自分の前髪から水滴が落ちているのに気づく。

「頭、冷やしな。」

冷酷ともとれる透子ちゃんの声が聞こえた。

私のコップを持つ手を押さえているのは透子の右手。

そこまで考えてやっと把握出来た。

透子ちゃんに水をかけられた。

自分がやろうと思っていたことを見透かされて、先にやられると拍子抜けしてしまう。



< 207 / 310 >

この作品をシェア

pagetop