不器用な僕等の唄を

どっかの青春ドラマっぽく、屋上へ行けたら少しは格好いいんだろうけど。

生憎、この高校の屋上は立ち入り禁止。

そこでまた、鍵をこっそり持っていたのなら絵になるんだろうけど。

…そんなのドラマの見すぎたと思う。

結局、私が考えて気軽に入れるのは音楽室くらいだった。

「失礼します。」

習慣か、癖か、もうどちらにもなりつつある言葉を吐き、第3音楽室に入る。

中には…音宮先輩だけがいた。

今、会いたくない第2位の人なのに。


先輩はこっちに目もくれず…と思っていたけど、耳にイヤホンを付けて、音楽を聞いていた。



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