不器用な僕等の唄を

私にハンカチを差し出した紘波は、動きを止める。

何かあったのかと顔を上げると扉が開く音がした。

「…遅いなぁ。」

入れ替わるように紘波が腰を上げて、そこに流星が座る。

「だから馬鹿って言われんだよ。ばーか。」

流星は紘波の言葉に眉を寄せて返し、

「止め止め。さっき音宮に死ぬ程罵られた。」

そして紘波は保健室を出て行く。

…地獄?

どうしてこのタイミングで流星と2人きり!?
紘波も待っていてくれれば良いのに!!

「水かけられたんだって?」

「…うん。」

流星は全てを知っているらしい。

もう隠すことなんて…無いんだ。





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