不器用な僕等の唄を
Ⅳ
「流星、私のこと好き?」
自分でも驚くことを聞いた。
普段、絶対にしない質問だから。
「好きだよ。」
優しい声で、流星は返してくれる。
猫を被っておちゃらけた流星も、不機嫌な流星も好き。
「…うん、別れよう。」
今ならまだ間に合う。
透子ちゃんに彼氏が出来たと聞くことはないし、まだ大丈夫。
私達は保健室を出る。
「何?俺の事嫌いになった?」
「違うよ。」
「じゃあ、勘違い。」
本館の方は賑わっているみたいで、開いた廊下の窓からは冷気と人のかけ声が聞こえる。