不器用な僕等の唄を
それだけ言うと透子ちゃんは離れていく。
私は、チケットをポケットに入れて、貰ったお茶と台本を持って立ち上がる。
「透子ちゃん、流星を罵ったの?」
立ち止まってこっちを振り返る。
その顔には得意そうな微笑が見える。
「勿論。野田を不安にさせるお前は馬鹿以外の何者でもないなって言ってやった。」
…流石(サスガ)。
行く透子ちゃんの前から流星が来るのに気付いて、我に返る。
阿久津さんに呼ばれてるんだった!
「流星、私行ってくるね!」
来るなりそう言われる流星は私の腕を掴む。