不器用な僕等の唄を
紘波の視線の先を追うと雪比良兄が阿久津さんと並んで話している。
…笑いながら。
ギュッと心が締め付けられるような気がした。
自分のことじゃないのに。透子ちゃんのことなのに。
「透子ちゃん、携帯忘れたから教室戻るって。」
「そっか。じゃあ先に行ってよう。」
昇降口には、流星がいた。
「行ってらっしゃーい。」
紘波にそうひやかされて別れる。
外に出ると夜だから一段と寒い。
「…星綺麗だね。」
夜空には星が散りばめられている。
「本当だ。」
流星も空を見上げる。