不器用な僕等の唄を

良かったんだと思う。

あの人はよく笑うようになった。
桔梗や葛さんも笑っている。
あたしも悪いとは思わない。

「新入生歓迎会で陸上部は短距離とハードルと高跳びやるんだって。」

「桔梗は何をやるの?」

「高跳び!」

4人で集まって食べる夕食は、少し楽しい。

桔梗はあたしの倍の唐揚げを頬張って愚痴る。

「私は幅跳びが良かったのにね!?」

「似たようなものだろ?」

「全然違うの!」

葛さんとあの人が交互に返して笑っている。

それに微笑する。

荒んでた頃には見えなかったあたしに、みんなは未来を見せてくれる。



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