不器用な僕等の唄を

まぁ、何度もこんな経験はしているんだけど。

その度に、動悸が烈(ハゲ)しくなる。

雪比良の家はここら辺では新しく出来た方のマンション。
うちは一軒家だけど、まぁまぁな中古。

「お邪魔します。」

中に入るのは初めてだった。

玄関に突っ立つあたしを怪訝な顔でみる。

「入んねぇの?」

「濡れるからいい。」

と言ったら、奥に引っ込んでタオルを持ってきてくれた。

雪比良家の母は多忙らしい。
青はよく購買のパンを買っている。

「なんか飲むか?」

「甘いのがあれば。」

我が儘を言うあたし。



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